甘い天秤
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駅に着く前に笹川さんに電話をしておこうと、もらった名刺をバックから取りだし、電話をかけてみる。


「はい。笹川です。………凛さん?」


緊張で声が出なかった。


「あっ、はい」

やっと出せた声も震えてしまった。


「今、どこにいる?」

「えっと、駅に向かってますけど……」

「じゃぁ、すぐ行くから明るいところで待っていてくれる?」

「はい。近くにコンビニがあるので、そこにいますね」

笹川さんの返事を聞き、電話を切りながらコンビニの前に立つ。


何か暖かい飲み物でも買おうかと思っていると、私たちが先ほどまでいたお店の方から、走ってくる笹川さんが見えた。


私も、笹川さんのところに小走りで近づく。


「お疲れ様です。何かありました?」

「あっ、やっぱり伝わってなかった…。クッキーのお礼の事でゆっくり二人で話したかったんだ」

「お礼なんて、いいですよ」

「いや……お礼は口実で…。デートの誘いをしたくて……」

「えっ……」


笹川さんの言葉で胸が一段と騒ぎだした。
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