甘い天秤
ten
秀人くんの家は15階建てのマンションの7階。1LDKでリビングがとにかく広い。きちんと整理整頓されている。


今更だけど……私、秀人くんと一緒にいたくて付いてきたけど……


男の人の家に来るってことは…。そういうことだよね…。経験が無いこと、事前に言ってた方がいいのかな……。


そういうことをするのは、この年だし……。今更、嫌ってことじゃないんだけど…。むしろなところはあるし…。


でも、初めてだと面倒だって聞いたことあるし…。


あっ!その前に家の事もきちんと話さなきゃ。



「凛さん、何か飲みますか?」


一人でぐるぐる考え込んでいると秀人くんの声が聞こえた。


「…ううん…。いらないよ」

「どうしたの?緊張してる?」


秀人くんは意地悪な笑みを浮かべて私を見ている。


やっぱり、伊織さんと兄弟なんだな……。


「飲みものいらないから…秀人くん、こっちにきて」

「え……?」


何かおかしな事言っただろうか……秀人くんびっくりしてる…。


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