赤い糸~切れた糸の続き~
微妙な関係
翌朝ー

いつものように家を出た。

アレクにまたがり、会社に向かう。

昨日のことが焼き付いて頭から離れない。

くっ、こんなこと考えてちゃダメだ。

会社に着き、気を引き締め直して、仕事に取りかかる。

けど…やっぱり、キスのことは忘れられない。

相手はまだ高校生よ?

しかも、咲斗さんの弟…それに恋愛もしたこと無い

そんな子と付き合える?初めての恋人になる人は、同級生の女の子位がちょうどいいわよね?

って、私、何考えてるのよー?!

健斗くんと付き合いたいって言ってるみたいだわ。

けど…健斗くんと付き合ったらどんな感じになるんだろう?

とか思ってる自分が恥ずかしい。

昨日のキスは嫌じゃなかった。むしろ、嬉しかった。

って、私、健斗くんのこと…好きになり始めてるの?

ダメだってわかってるのに…。

私の仕事のスピードがいつもにまして早くなってる。

険しい顔でパソコンとにらみ合い、キーボードを叩いてる。

ゴォォーという効果音が聞こえそうだ。

周りが引いてるのにも気づけないくらいに次々に資料を挙げていく。

気づけばお昼になっていた。

私は一息ついて立ち上がった。食堂に向かうために。

ふと、福本さんに声をかけられた。

オーラがキツイと言われた。私は苦笑い。そして二人で食堂に向い、いつものように向かい合って食事をする。

変わらない日常の一コマ。

だけど…ほんの少しだけいつもと違う気がする。

私は昨日、おとといの出来事を話す。

「はぁ?キスされたぁ?マジかよ…嘘だろ?」とめちゃくちゃでかい声で福本さんにばらされてしまった。

皆の視線が一気に私に集まった。

「課長、声大きいですよ~」と私は言った。

「わりぃ、あまりにも驚いてだな」と福本さんは笑った。その後、アドバイスを受けて、励まされた。

私たちは何事も無かったようにご飯を食べ始めた。

そして、食べ終えて、仕事に戻る。

昼からの仕事は少し気持ちが楽になった。

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