じゃあ、初キスで
そう思ってたのに、あの日2人を見た時、なぜか素直に喜べなかった。
笑い合う2人を見て、胸のあたりがチクッて痛んだ。
お似合いならいいじゃん
幸せそうじゃない?
そう自分に言い聞かせても、それでも晴れない霧みたいなのがつっかかってる
斗真はその後すぐに家に来て、人が風邪ひいてるのにその横でずっと雑誌か何かを読んでいた。
聞いてもないのに「葵とは付き合うとかそんなんじゃないから」って何度も言って、その度に私のことをチラッと見る。
……何が言いたいのよ
はっきり言いなさいよ
そう思うのにはっきり聞けない私自身に嫌悪感
なぜか、斗真は葵ちゃんのことが好きかもしれないって思う度にその思考から逃げたいって思う自分がいた。
そんなことを考えているうちに集合場所の神社について、私は人混みから抜けてすぐ近くのベンチみたいなのに座った。
ちょっと早く来すぎたかな
まだ誰も来てないみたいで、私ははぁっと息を吐いた。
その時、私は驚いて思わず立ち上がった。
私が吐いた白い息の向こう、ごった返した人混みのそのまた向こうで、2人の人が急接近するのが目に入った。
遠くてもすぐに分かった。
葵ちゃんと、斗真だ……
2人は何か話してて、その後すぐに2人の影が重なった。