Phantom (ファントム) ~二人の陽人〜
最終章

1. 確かなもの

 

あの車に乗った後のことで、ハルがおぼろげに覚えているのは、自分のマンションの玄関を入ってすぐの廊下に二人で倒れていて、アキの身体を担ぐようにしてベッドに寝かせ、自分はソファーに倒れ込んだことくらいだった。

そしてまた深い眠りについてしまい、アキのうなされる声に目を覚ましたのだ。


そして、アキの掌の傷を見た時、悪夢のような惨劇が、現実に二人の身に降りかかった出来事だったのを知った。




思えば自分達を助けてくれたあの男性に、この家の場所を教えた記憶もなく眠り込んでしまったし、
いつどうやって車を降りたのか、
彼と何か言葉を交わしたのか、
どうやってこの部屋に辿り着いたのかも、全く覚えていない。

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