ヴァージンの不埒な欲望

嫌味がない程度の明るめの髪色。きれいな二重の瞳が、緩やかに弧を描いて微笑んでいる。

拓夢さんとは、また違ったタイプのカッコよさ。とても華やかな雰囲気を持った人だ。現代の『王子様』て感じ。

簡単な略歴も載っていた。私も知っている有名国立大を卒業した後、誰もが知る大手商社に入社。五年間勤務した後、退社。アメリカのこれまた超有名大学に留学して、MBAを取得。帰国して、お母さんの出身地であるこの地で起業する──

加賀見さんの略歴を読んで、私はクラリとした。私も知っているワードが並んでいるのに、頭の中にちゃんと入ってこない。

ただ感じたのは、加賀見さんは外見だけでなく、その経歴も華やかだったという事だ。

そこで、はたと気付く。加賀見さんの経歴が華やかだという事は。

私はスマホの画面をスクロールする。加賀見さんの次に登場したのは、やっぱり拓夢さんだった。

口角をわずかに上げて微笑む拓夢さん。

あぁ、やっぱりすてき!スマホの画面の拓夢さんにしばし見惚れる。

我に返って、拓夢さんの略歴を見る。

そう、なるよね。

加賀見さんと、大学の同期だと言っていた拓夢さん。当然、有名国立大を卒業し、大手商社に入社。五年間勤務した後に退社し、アメリカの超有名大学に留学してMBAを取得していたのも、加賀見さんと同じだった。

すごい!拓夢さんも加賀見さんも、天が二物も三物も与えちゃったような人だった。

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