明日の蒼の空
 緊張しながら待っていたところ、新郎の和馬さんと新婦の姉が入場してきた。

 新郎の和馬さんは、グレーのタキシード姿。とても凛々しくて格好良い。

 新婦の姉は、純白のウエディングドレス姿。ものすごく綺麗で美しい。

 二人は緊張した趣で、新郎新婦の席に座った。

 席についたまま、姉の顔を見つめていたところ、八人の給仕さんが入って来て、出席者のグラスにワインを注ぎ始めた。

 二人の給仕さんが、私たちのテーブルにも来てくれた。

 ボルドー産の白ワインです。フルーティーな風味とまろやかな口当たりをお楽しみください。と言って、私たちのグラスにもワインを注いでくれた。子供のりさも白ワイン。

 りさは飲んじゃダメよ。

 飲まないよう。

 私の両隣に座っている夏美さんとりさのやり取りを見ていて、私は思わず笑ってしまった。

 そのおかげで、だいぶ緊張がほぐれてきた。

 見るからに美味しそうなお料理も運んできてくれる。

 姉の計らいなのか、私の大好きな新生姜の甘酢漬けが山盛りになっているお皿も運んできてくれた。

 食べられないのは本当に残念。飲めないのも本当に残念。けれど、姉の優しさ溢れる心遣いに胸が熱くなり、何も食べなくても、何も飲まなくても、十分にお腹が満たされた。

 披露宴は落ち着いた雰囲気で進んだ。

 パフォーマンスは行われず、ケーキ入刀のパフォーマンスも行われなかった。
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