明日の蒼の空
第8章 嬉しさと切なさと思い出の家族旅行
 梅雨が明けたと同時に、いろんな種類のセミの鳴き声が聞こえてくるようになった。

 ミンミンゼミ、アブラゼミ、クマゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシ、ニイニイゼミ。この世界だけに生息しているという、ラララゼミ。名前のとおり、ラララララー♪ と歌うように鳴く。

 ポプラの樹には、セミの他にも、カブトムシやクワガタムシやカナブンなどの昆虫が止まっていて、長い網を持って、昆虫採集をしている子供たちを見かけるようになった。

 夜になると、幻想的なホタルの光があちこちで鑑賞できる。

 この世界にも蚊はいて、なぜか夏美さんだけが蚊に刺されまくっている。「痒いから、もう一杯!」

 空には真っ白い大きな雲が浮かぶようになり、今日も夏の日差しが照りつけている。

 暑いことは暑いけど、空気が乾いているし、一日中、心地よい風が吹いているので、走り回ったりしなければ、さほど汗を掻くことはない。
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