明日の蒼の空
 いきなり手の込んだ絵を描くのは無理なので、正行さんに一輪のひまわりの絵を描き続けてもらった。

 正行さんは一生懸命に取り組んでいる。

 雨の日も風の強い日も黙々と描き続けている。

 その真剣な表情からは、何がなんでも絶対に成功させたい。という熱意がひしひしと伝わってくる。

 奥様を愛していらっしゃる証だと思う。



 練習すればするほど、描く時間が短縮していき、正行さんは、一輪のひまわりの絵を五分で描けるようになった。ただし、相変わらず絵は下手なまま。

 逆効果にならないように、正行さんに描いてもらう本番用の絵と文字は、慎重に考えて決めなければならない。

 ひばりさんと夏美さんと私と正行さんとの四人で話し合い、正行さんに描いてもらう絵と文字を決めた。

 一秒でも早く描けるように、さっそく練習開始。



 ひばりさんと私の指導の元、正行さんは黙々と練習を続けた。

 二時間掛かっていたのが一時間になり、描けば描くほど早く描けるようになって、最終的には、九分以内で描けるようになった。

 文字を含めて、約十分。

 本番では、かなり緊張すると思うので、十分以内で描くのは難しいと思う。
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