明日の蒼の空
 いよいよ本番当日の朝を迎えた。

 絵を描くのも体力が要る。

 しっかりと腹ごしらえをした後、正行さん、私、ひばりさん、夏美さん、りさ。電車の運行を休止して、遠方から遥々駆けつけてくれた御手洗さん。との六人で地上の世界に降りた。

 約束どおり、くーちゃんが河川敷で待っていてくれた。

 空は薄い雲で覆われている。

 晴れるように期待するしかない。



「リラックスして待っててくださいね」

 正行さんには河川敷で待っててもらい、私とくーちゃんとの二人で春子さんのアパートに向かった。

 春子さんが外に出てこなければ、その時点で計画は失敗。

 決行日を変更しなければならない。



 外に出てきてくれるように願いながら、アパートの階段の下で待っていたところ、春子さんがゴミの入ったゴミ袋を持って階段を降りてきた。

 足取りは重く、表情は相変わらず暗いまま。

 手に力が入らないようで、ゴミの入ったゴミ袋を落としてしまっている。



 計画どおりにお願いします。

 はい、任せてください。

 くーちゃんがゴミ出しをしている春子さんの元に駆け寄っていった。

 私の指示どおりに春子さんにお願いしてくれている。

 ゴミ出しを終えた春子さんは、大きく溜め息をつき、重い足取りのまま、階段をゆっくりと登って、アパートの部屋に入っていった。

 私はくーちゃんの元に駆け寄った。

 感触はどうですか。

 手応えはありました。

 そうですか。

 私とくーちゃんは、大急ぎで河川敷に戻った。

 正行さんとひばりさんと夏美さんとりさと御手洗さんに、計画が順調に進んでいることを報告した。

 くーちゃんのお願いは絶対に届いている。と信じながら、春子さんと日菜子ちゃんと寛太くんが来るのを待った。

 くーちゃんのお願いが、春子さんに届いていたとしたら、春子さんと日菜子ちゃんと寛太くんは、お昼過ぎに河川敷にやって来る。お日様が真上にある時間帯に。
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