明日の蒼の空
「ふう。ちょっと体が硬くなってきたかな」
 ストレッチを終えた夏美さんがコーヒーを淹れて席についたので、ふっくらと焼き上がった黄金色のフレンチトーストをテーブルに置いて、私も席についた。

「いただきます」
 夏美さんはフレンチトーストを口に運び、私は納豆かけご飯を口に運んだ。

「天気が良くて良かったね」

「はい、良かったです」
 今日は、空のキャンバスに絵を描く方法をひばりさんに聞くのだから、曇りや雨より晴れのほうがいいに決まっている。

「緊張しているように見えるけど、大丈夫?」

「は、はい。大丈夫です」
 とは言ったものの、私はかなり緊張している。そのせいで、昨夜はよく眠れなかった。

「目の下にクマができてるわよ。やっぱり、緊張して眠れなかったのね」

「はい。あまり眠れませんでした」

「ひばりさんはすごく優しい人だから、そんなに緊張しなくても大丈夫よ」

「は、はい」

「緊張している蒼衣ちゃんは、まるで入試直前の受験生のようね」

「あはは。そうですね」
 夏美さんと会話をしているうちに、少し緊張がほぐれてきた。

 たまに面白い冗談を言ってくれる夏美さんのおかげで、だいぶ笑えるようになってきた。

 私が笑っているところを姉に見せてあげたい。できることなら、また姉と一緒に笑いたい。私はそう思いながら、納豆かけご飯を食べ進める。

 笑顔でホットコーヒーを飲んでいる夏美さんも私と同じことを思っていると思う。
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