熱愛系エリートに捕まりました
だって、女泣かせの悪い男かもしれないけど、悪い人だとは思えないんだもの。

昨夜のことは覚えてないけど、おかしなところが痛くなっていないってことは、きっと優しく抱いてくれたってことで。


すべてが異常事態のはずなのに、今朝目覚めたときには確かに戸惑ったのに。

頭が状況を理解すれば、むしろ心の方がすんなり薬師丸さんを受け入れていた。


経験が多いわけでもないのに、我ながら淡白過ぎない?とさえ思っていたんだけど。

もしかしたら昨夜のうちに…自分でも与り知らぬうちに、心を奪われていたのかも。


だからこうして一緒にご飯を食べていても、余計な緊張をしていないし。

それどころか、こんな時間をまた過ごせると思うとトクトクと胸が高鳴る。


頭には冷静な部分も残っているけれど、考えるより先に心に従って動いていた。

後にも先にも、そんな行動を取ったのはこのときだけだった。
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