独り占めしてもいいですか…?【完】
「実は千景くんに勉強教えてもらいたくて。今日だけでいいから千景くん貸してもらえない?」





「えっ」





女の子たちは、お願いっ!と言った様子で両掌を胸の前で合わせていた。





そっ、そんなこと言われても…





今日は千景と帰るって約束してたし…





…勉強なら他の人に頼めばいいのに。





困った表情を浮かべる私に女の子たちは続けて口を開いた。





「ねえ、いいでしょ葵さん。ちょっと仲がいいからって千景くんのこと独り占めしないでよ」


「そうよそうよ!」





女の子たちは口を揃えて不満を言ってきた。





「別に私は独り占めなんて…」





言い返そうと思ったが、これ以上私が何かを言っても火に油を注ぐだけだった。
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