独り占めしてもいいですか…?【完】
「こんなところでどうしたの?」





千景は靴を履き替えながらそう聞いてきた。





「昨日のこと、やっぱりちゃんと会って謝りたくて」


「えっ。いいよそんなの!」


「ううん、せっかく約束してたのに…本当にごめんね」





眉尻を下げ、本当に申し訳ないという気持ちで頭を下げた。





「頭あげてよっ。俺、怒ってないし。急用なら仕方ないよ」





そう言って千景は優しく笑ってくれた。





千景に嘘をついていることにも胸を痛めた。





「ごめんね…ありがとう」





「まったく…いつまでそんな辛気臭い顔してんだよ」





そう言って千景はニヤリと笑みを見せると、私の眉間に向かってデコピンをしたのだった。
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