桜の花が咲くころに

いくら考えても分からないから、もういいや。

そう考えが落ち着いた所で、りっちゃんと2人、これから1年間過ごすことになる教室に辿り着いた。


1年5組。

その教室のドアを開けると、真ん中の列の後ろから2番目の席に、今朝会ったばかりの彼が座っていた。


橘くん…。

同じクラスなんだ…。


ジーッと彼の方を見ていると、目線をドアの方に向けた橘くんと視線がぶつかる。

胸の辺りまで手をあげると、橘くんに向かって、小さく手を振った。

すると、橘くんも小さく手を振り返してくれた。


まだ担任は来ていないが、色々な中学校から集まっているせいで、殆どの生徒が緊張した面持ちで座っている。

手を振り返してくれた後、すぐ前を向いてしまった彼を気にしつつも、私もりっちゃんと離れ、窓際の1番前の席に座った。


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