桜の花が咲くころに

私は海人のこの笑顔を凄く気に入っている。

海人が私に一目惚れした…と同じように、海人の笑顔は私の心に心地よく入り込んでしまっている。


好き…という感情は分からないけど、私も彼の笑顔に惹かれた。

そして、彼の涙を見たとき…何とも形容し難い気持ちになった。



「あのね、海人。笑わないで聞いてくれる?」


「うん。」


「私…恋愛したことがないの。」


「うん。」


「だからもちろん、付き合ったこともないの。」


「うん。」


「だから…付き合ってって言われても、何をしたらいいのか分からないの。」


思い切って海人に告げると、はぁ~っと1つ溜息を零した海人が私に言った。


「そんなの俺だって付き合ったことないし!
 
ただ…桜に会って一目惚れして、もっと桜のこと知りたくて、一緒の時間を過ごしたいと思っただけで、俺も良く分からないよ。

でも、桜に俺の隣に居て欲しいんだ。

俺のこと、徐々に知ってもらって、俺のこと好きになって貰えたらいいなって…。

それだけだよ。」


< 41 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop