恋の相手は…おじさん!?
大学とクリニックの日々

無事大学に入学することができ、私は必死に勉強した。勉強が好きなわけじゃなかったが、折角就職先を提供してくれてる加藤さんを裏切られなかったというのもあるけど…やはり実の父の仕事に憧れていた。というのも本当だったからだ。そして、大学が終わり、ほとんど夜に近い夕方にクリニックに訪れた。もちろん、治療なんて出来るわけもなく、雑用ばっか。でも医師や看護師さん達はみんないい人ばかりだし、給料も結構いい。流石高級ビルに入っているクリニックとでも言うべきだろうか…。私はこの日常が大好きだった。
今日も明日も毎日大学帰りにクリニックによる日々。
「こんにちはー今日もよろしくお願いします!」
と毎日クリニックに入る時に声かける。
すると
「あー、宙良ちゃん今日も仕事か!頑張ってね!」
「いつも頑張って偉いね!」
「大学も行ってるんだって?それに加えて仕事とか…ホントすごいわ!」
と口々に褒めてくれる看護師さん達…。
本当にいい環境で働けてしかも将来の役に立つとか最高すぎる!医師の娘で良かった!とクリニックに来る度に思った。
そんなこんなで雑用をしつつ看護師達の働いてる姿を目でみて学んでいると…
手が空いたのか加藤さんに呼び出された。
「あ〜、そらちゃん、呼び出してごめんな」
「いえ、何か私ミスでもしてしまっていましたか?」
「いやいや、そらちゃんの仕事完璧よ!だから雑用じゃなくて、そろそろ治療とかのお手伝いしないか?」
また、いきなりの提案だった。いきなりすぎて言葉に詰まってると、
「知識とか抜きにそらちゃんは治療系のお手伝いしたい?それとも雑用で充分?」
そう加藤さんに聞かれた。
もちろん、私の答えは決まっていた。
「それは…出来るならしたいです。」
「ん、そう言ってくれて良かった(笑)
でも今すぐにはできない。
私としては今すぐにでもやってもらいたいんだけどね、患者さんの命に関わる問題だし、今度大学でテストあるよな?それいつ?」
「えっと、夏休み前にあります。」
「おー、もうすぐやな、じゃあそのテストで全部100点取ってこい。もちろん見習いとして働きながらだ。」
100点それはちゃんと知識が身についていればどこでも取れる点数…。でも私はケアレスミスをよく犯すため、90点止まりだった。
「なんや不服か?」
私からの返事がなかったので加藤さんに声かけられた。慌てて私は訂正した。
「あ、いや、100点取ってきます!」
「おう!待ってるぞ!ちゃんと取れたら治療系のお手伝いとかもしてもらうからよろしくな!」
「は、はい!!ありがとうございます!」
私はこの提案をされてからずっとスキマ時間で勉強していた。見習い中の休憩時間や通学時間、学校の休み時間、寝る時間も削って頑張った。諦めそうになった時もあったけど、大学の友人やクリニックの人達が応援してくれたので頑張ることができた。
「そらちゃんスゲェ頑張るなあ…まぁ、あんま無理すんなよ?」
そう加藤さんに声かけて貰えたのがすっごく嬉しかった。なんか、実の父親に努力を褒められてるような気がして。だから、余計頑張った。
学校の友人も
「宙良ー、頑張るのはいいけど最近頑張りすぎよ!」
「そうそう、少しは息抜きしなよー。絶対身体壊す!」
と心配するようになってきた。でも、頑張ることをやめれなかった私は今の現状を続けた。幸い、倒れてみんなに迷惑かけることもなかったから良かった。
テスト前日の日にただの学校のテストというだけでこんなに!?というほどのもらっていいのか分からないほどの差し入れを貰った。
「宙良ちゃん、今まで頑張ってたしょー。
これ、差し入れ〜!」
「明日、テスト本番か!頑張ってなぁ…これ飲んで頑張れ」
と口々に応援してもらい、
いよいよテスト本番を迎えた。
加藤さんにケアレスミス対策としてはちゃんと見直すこと。そして焦らないことと教えてもらい、それを頭においておけたおかげがケアレスミスは防げた気がする。
肝心な問題も基礎的な事ばかりでかなりの手応えは感じることはできた。満点取れてる自信はそこまでないけど…。
そして、テストがおわり、クリニックへ。
真っ先に声をかけてきたのは加藤さんだった。結構気になってたみたい笑
「一応手応えはありましたけど、100点取れてる自信はそんなにないです…」
「おー、そうかそうか。でも全然できなかったーと言われなくて良かった(笑)」
と豪快に笑う。
「それはないですよ!(笑)」
「だよな!良かった!また、結果が出たら教えてくれ!」ってまた笑う。
なんか出会った頃を思い出す。
最初はどんな人だって思ったけど接すると本当にいい人…。お父さんと仲いいのも頷ける(笑)
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