世界にひとつのどこにもない物語
人を助けただけなのにプロポーズをされました
今月に入ってから3回目である。

「必ず迎えに行くから」

そう言った相手の顔は逆光のせいでよく見えなかったが、男だと言うことは理解できた。

「大人になったら、必ずまやのことを迎えに行くから」

差し出された小指は小さかった。

その小さな指に自分の少し大きな小指を絡めると、
「指切りげんまん」

声をそろえて決まりの文句を言った。

「必ず迎えに行くから…」

彼が続きを言おうと唇を動かした。

――ジリリリリリリ…!
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