そのイケメン、オタクですから!

3

3年生の卒業式が終わって、後2週間で私達も春休みになる。

学校からの回答を翌日に控えた日、私達は約束のダブルデートをした。

「いや、俺泣いちゃった」
健くんが目を真っ赤にしている。
「でも意外と良かった。私メイドになりたくなっちゃったもん」とよっちゃん。

及川先輩は私の様子を伺いながら「3年前とはアニメーション技術が格段に違うよな。背景とか臨場感あったし」って遠慮がちに褒める。

「メイド服と散弾銃」は名前から想像できる通り、ご主人様を守るために命がけで戦場に出るメイドたちの物語。ご主人様との恋愛あり、メイド同士の友情ありの意外と深いアニメだ。

ちなみにナナは、いつも明るくて超ポジティブなメイド。
ムードメーカーだけど、後先考えずに飛び出しちゃったりしてちょっと馬鹿なキャラクター。

私はそれを意識して馬鹿みたいに振る舞っているだけで、全然ナナには共感できないんだけれど。ナナの為にいつも危ない目に遭っちゃうご主人様が格好いいんだよね。

「うん。映像も綺麗だったし内容も面白かったね。こっちにしてよかった」
先輩に言うと、ふふん、と笑顔になった。

「俺はやっぱりリリが冷酷とも思える判断をするとこが……」と健くんが熱く語るのを遮って及川先輩が「やっぱ戦闘ではぐれたナナを助けるところが一番の見せ場だろ」って語る。

二人がこんな風にアニメの話をする日が来るとは思わなかったけど……。
よっちゃんと二人顔を見合わせて笑う。


< 119 / 193 >

この作品をシェア

pagetop