ラズベリーな恋模様(A・T)
今回のは結構な自信作なんだ。
「そりゃ、架樹の作るやつは何でも美味しいもん。ありがとな。大事に食べさせてもらいます」
「いーえ!」
「じゃあ、そろそろ帰るか」
連也くんはそう言って立ち上がる。
「そうだね。ちょっと寒くなってきたし」
あたしも立ち上がった。
幸せを噛み締める。
今この瞬間は、昨日までには無かったし、明日からにはやって来ない。
だから、今を大切に噛み締める。
「寒いし……手、出して」
「えっ?あ、はい」
手を出すと、連也くんはその手を握り、歩き出す。
「あー、やっぱ架樹の手、冷えてる。ごめんな、寒いの我慢させて」
そう言う連也くんの手はとても温かかった。
連也くんの言葉一つ一つにドキドキする。
連也くんの隣にいたら、いつかキュン死にしてしまう気がする。
でも、それが好き。
そんな時間がとてつもなく大切なんだ。
ああ、もう。
今も、心臓がドキドキしているよ。
ものすごく、幸せです。
【レモンな初恋】