ラズベリーな恋模様(A・T)



別に、あんたらには関係ないでしょ。

そんな思いが八割、ルリちゃんという単語に二割。


実は最近、渉くんに対して小さな不満がある。

いや、最近というより昔から、色々不満はあるのだけど、今もあるのだけど、今回のはやけに気になるのだ。


「ごめんね、お待たせ。さっ、行こっか」
「うん」



あたし達は中庭へと向かい、一緒にお弁当を食べる。
これは、渉くんが入学してきてから、毎日していることだ。


「あっ、ルリちゃんのハンバーグ美味そう」

“ルリちゃん”。

「いる?」
「いいの?やった!」
「はい、どうぞ」
「ありがとう。ルリちゃんの弁当って、お母さんが作ってるの?」

“ルリちゃん”。

「うん、そうだよ」
「へえー、ルリちゃんのお母さん、料理上手だね」

“ルリちゃん”。


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