ラズベリーな恋模様(A・T)
そして、近くに海の家を見つける。
そこには、“かき氷”の暖簾が掛かっていた。
「あっ、かき氷!かき氷食べたいな」
海の家を指差してそう言うと、透は、
「ああ……」
と、素っ気ない返事。
駄目かな、と不安に思い、透の顔を見ると、透と目が合った。
そして、一瞬で二人とも逸らす。
「……行くか、あそこ」
「えっ、いいの?」
てっきり透は行きたくないかと思っていたのに、そう言われ、あたしは驚いた。
「えっ、行くんじゃねえの?」
透はあたしの反応に、なんで?という顔を見せた。
なんか、微妙にすれ違ってるなあ。
そう思いながら、何でもない、と首を振った。