想いはトクベツよ!
ぐいぐいと手を引っ張られ足も引きずられ始めると、不良2人が突き飛ばされた。


「おわっ!!!なんだ、てめぇは?」


「妻を返してもらおうか。」


「妻だと??」


「警察も呼んだがどうする?」


「いや、ちょっと人違いだ。悪かった。」


不良2人は逃げるように走っていってしまった。
シエナはあっけにとられた表情をして立ち尽くしている。


「ひとりにして悪かった。
さあ、早く帰ろう。」


そういわれてなんとか歩きだして、頭が冷静になってきてふと気が付いたシエナは、司の手に血の跡があるのを見つけた。
あの2人を突き飛ばしたとき・・・。

それにケーキを持っていたはずの手はシエナの腰にまわされていた。
ケーキはけがをした方の手に持ち替えられていた。


「あの・・・どうしてですか。
私のためにケガまでして・・・なんでそこまで。
警察に連絡してくれたのならそれでいいのに。」


「してないよ。」


「えっ?」


「警察は呼んでないんだ。
気が付いたら突き飛ばしていたんだ。
ちょっとした正義感なのかもな。
もしかして・・・心配してくれたのかな。」


「だって・・・私はもうあなたに傷ついてほしくないから。
私ばっかりわがままな女になってしまうから。
もう、私出かけません。
お兄ちゃんが迎えにきてくれるまで、家におとなしくしていますからもう・・・私に振り回されることありません。
だから・・・かまわないでください。」


「嫌だな。」


「そうですか・・・私はもう返事もしません。
帰ります。」


家にもどってシエナはすぐに自分のベッドに倒れこんだ。

「ここから動くもんか!!」


「それは好都合だな。」


「はっ・・・え、ええぇ!!」


いつの間にか司がシエナの隣に寝転がっている。


「あ、あなたの部屋はあっちでしょ!」


「この家は俺の家で、どこに行こうが勝手だろ。
そして、何をしようが勝手だな。」


そうつぶやいて、シエナを押さえつけるように覆いかぶさると容赦なくはげしいキスをされ、服の上から胸をつかまれた。


「うっ・・・ううっ・・・うーうー!」

口の中を好き放題に舌でいじくられ、やっと口が自由になったとき・・・司がつぶやいた言葉は。


「死んだ兄の姿を俺だと思ってショックを受けたんだろう?
ひどい顔色、充血した目。
ふらついた足取り・・・元気な人間の行動ではないやせ衰えた俺だと。」


「えっ?あに・・・って?」


「俺はずっと外国にいた。フランスからイギリスにかけて仕事でな。
日本にはもどってなかったんだ。
兄貴が死ぬまでな。
俺がいては君に迷惑がかかると思ったから。

なのに・・・君は記憶をなくしたと貴樹からきいて帰らずにはいられなかった。」


「じゃ・・・あの人って・・・あの女の人は・・・お兄さんの・・・?」


「女?何を見たんだ?言ってくれ!」
< 18 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop