俺様副社長のとろ甘な業務命令



前菜が下がると、サラダ、スープ、パン、魚料理、ソルベ、メインの肉料理と、豪華でオシャレな料理が次々とお目見えした。

どれもお皿の上にちょこんと上品に載ってくる料理ばかりなのに、メインをいただく頃には結構お腹はいっぱいに近かった。


「ハァ……絶品でしたね」

「それは良かった」

「はい。すみません、どさくさに紛れてこんな素敵なところに連れて来てもらっちゃって」

「まだ終わりじゃないけど、甘いものは別腹なんだろ?」

「あ、はい! それはもちろん」


そんなことを話していると、周囲が微かにざわめき出すのを感じ取る。

何気なく店内を振り返った目に入ってきたのは、パチパチと弾ける花火だった。

ウェイターさんが持つお皿の上、ケーキに刺さるスパークラー花火。

何事?と思っているうちに、やってきたウェイターさんが私の前にその大きなプレートを置く。


「えっ……」


それを見て、一瞬何が何だかわからなくなった。


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