光と雪



その部屋に足りない物は…………









自分でも分かっていた。








ふぅ、と誰もいない病室で溜め息をついた。








それもとびっきり大きくて深いヤツを。










「僕はなんで生まれて来たんだろう…」









白い天井をにらみ付け…。








早く死ねば良い。




こんな命いくらでもくれてやる。




地獄でも何処でも良い。




天使じゃなくても死神でも良い…。




早くこんな絶望しかない世界から追い出してくれ……。









骨張った手で動脈のある手首を強く握った。







血を止められ青ざめていく手を見ながら。







このまま血が通わなくなったら腐るよな。








そこから菌が体中に回って………








そうしたら僕は…






この世界から…







追放される………?







< 11 / 31 >

この作品をシェア

pagetop