私の彼氏は超肉食系

逃げられない勝負

「すみません監督。お先に失礼させて頂いてもよろしいでしょうか?」

もう夜の10時だ。

これ以上、付き合っていたら明日の授業の予習ができない。

今日のスタジオ撮影で私の分がアップする予定だったのだけど1つ前の撮影が延びに延びてしまっていた。

「ああ。そうだな。次に参加できる日を伝えてくれ。こちらで調整するよ。」

監督は優しい人だった。

『マキ』さんが言うような厳しさは殆どなく。

あの男とは違い傲慢さの欠片も無い人物だった。

ただ一つ撮影方法を除いては。

「自分勝手な人ね。もう少しくらい待ちなさいよ。貴女との絡むシーンをなんで、こちらでスケジュール調整しなきゃいけないのよ。」

『西園寺れいあ』が噛み付いてくる。

例の件を余程恨んでいるらしい。

「自分勝手は貴女のほうでしょ『西園寺』さん。いったい何回NGを出せば気が済むの。『西九条れいな』さんは5時間も待っているのよ。」

まあその度に『マキ』さんが庇ってくださるんだけど、火に油を注ぐ結果になってしまう。
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