プロポーズは金曜日に
あ、そうだ。


「お風呂に入浴剤入れてもいい? 甘めの香りのやつ」

「はい。いいですよ」

「明日は十時くらいにゆっくり起きよう」

「はい」

「あ、あとで紅茶淹れるね」

「はい。ありがとうございます」

「いえいえー」


私から伊波くんとおんなじ匂いがするお風呂上がりが好きだ。


湯冷めしちゃ駄目ですよって笑って淹れてくれるココアが好きだ。


隣でまどろむ伊波くんの、寝ぼけて緩んだ口元が好きだ。


私は伊波くんといる時間が好きだ。


二人で幸せになりたい。

伊波くんと結婚したい。


だけど今のところ、変になる伊波くんに頷くことはできなくて、

だけど私から逆プロポーズしたら伊波くんは悲しがる気がして、

私は何だか、上手く言い出せずにいる。
< 13 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop