桜ノ蕾


頭に浮かんだ疑惑を振り払う。



今はそんなこと考えてる場合じゃない。
早くここから脱出しなくちゃ。




指先をゆっくりと動かしてみる。
指が動くごとに全身が痛みだす。


骨折はしてないと思う。
でも全身は打撲だらけで全く動かす事が出来ない。





動かすのを止めて目を閉じる。




どうしよう。
体が動かせないのならここから這い出すことも助けを呼ぶ事も出来ない。


もしかしたら誰かが私を助けに来てくれるかもしれない。
小夜ちゃんならきっと気付いて殿に言ってくれ……






そこで私の思考は停止した。




何考えてるんだ。
彼が私を助けに来てくれるわけないじゃないか。

私は彼を傷つけたのよ?

それに第一彼は私の事を何とも思っていない。
小夜ちゃんがもし私がいないと言っても意味ない。



だって彼が私を助ける理由がない。




そうでしょう?



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