あの日の記憶
プロローグ
…私達の人生は一つしかない。


その貴重な一つの命をどうするのかは自分次第

なんだ…



私のお父さんはもういません。
でも、あまり悲しくはない。


「かっちゃん!?」

お母さんが叫ぶ


私はまだ2歳の弟、祐希を必死に落ち着かせるのが精一杯


あの時はまだ4歳だったんだ…


「あやちゃん、祐希。今から病院に行くよ!
お父さんが大変なの!」


とお母さんが焦りながら叫ぶ。


私は何がなんだか分からないままこうたを連れてお母さんについて行く。


でも4歳だった私でも分かった事。


それは、「今とお父さんがお風呂で血を吐いて倒れて大変だ。」という事。


私達の苦しい日々はここから始まったんだ…

―――――――――――――――――――――

「チーン、チーン」


よくお寺に響いていそうな鐘の音。


やっぱり耳に残る。


でもここはお寺ではなく私の家。


それもお父さんの仏壇の前


私はお父さんの遺影を見る。


幸せそうに笑っている


「今お父さんはどこでなにをしてるの?」


「私はもう中学生だよ!」


心の中で呟く。


本当は心の中じゃなくて、お父さんに直接言いたい。


他にも言いたいことがたっくさんある!もう数え切れないくらい。


でも無理。そんなの知ってる。もう100の承知だよ…


そんなことを思いながらも席に着く。


朝ごはんは私の大好きなホットケーキだ。


「いっただきまーす!」


んーっ。やっぱおいしい!


朝のホットケーキはサイコーだね。


ふと時計をみると8時


「やっば!遅刻〜!」


お母さんに行ってきますを言って走って家を出る。


ここから学校まで10分だから…なんとか間に合う!!


「ギリギリ間に合った…」


学校についたのは8時10分。


私は余裕な顔をして席についた。


教室のカレンダーを見ると9月15日だった


「あ、今日ってお父さんの月命日…」


ちょうど今日の9ヶ月前にお父さんは…


と思うと、あの日のことが頭の中で蘇った
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