癒し恋~優しく包まれて~
しかし、俊也さんから返答は予想外のものだった。


「そんなかわいいこと言われたら、連れていくしかないよ」

「連れていく? どこへ? まさか……」

「うん、そのまさか。一緒に札幌まで行こうか?」

「ええっ! いえいえ、とんでもないです。さすがにそこまでするなんて。あ、冗談ですよね?」


慌てる私を俊也さんは笑った。

「本気で言ったのにな」と。


本気だとしても今の話で突然札幌まで行くことに同意は出来ない。

「お土産を待っています」とお断りした。


その後、タクシーで送ってもらい、あっさりと本日はお別れ。

私よりも俊也さんの方があっさりしていない?

明日、朝早くに出ると言うからさすがに家に招き入れることは躊躇したけれど、ちょっと触れ合いが欲しかったな。

キスとか……手を繋ぐだけでは足りない。

好きになると恋人になったとしても欲張りになってしまう。もっと距離を縮めたい。

くっきりとした三日月を見上げてから、部屋に入った。
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