Pyua love ~そして真実~
帰ろう・・・。

私は、ツリーの前から離れようと歩き出す。



「外山さん!!」


私の腕を掴み、引き止めたのは会いたかった人。


「坂・・・上君・・・」

え?なに・・・?
うそ・・・。





私は気付けば、背後から温かい腕に包まれていた。




「会いたかった」

私の耳元で囁く坂上君。

私は何が起きてるのか、頭が真っ白になっていて、状況を把握するのに精一杯。

そんな私に気づかないのか、彼が私を抱きしめる腕に力が籠る。

「痛ッ」

「あっ ごめん。外山さんを見つけたら、止まらなくて・・・つい」


「ちょ・・・坂上君?放して?皆が見てる」


「見ていないよ?」
「え?」

ホラッっと言って、私に回していた腕が解かれると、私は周りを見て驚いた。

そう・・・つい今まで人々の雑踏で賑やかだったホールが、静寂に包まれている。

そこに居る大勢の人々の動きが止まっていたから。

まるで、私達だけが空間から切り離されているような、まるで写真の一コマに迷い込んでしまったような景色だった。

「ど、どうなってるの?」

「ちょっとここ、離れようか」

そう言って、私の手を取ると裏口の方へと歩き出す。

「どうして、皆止まっているの?」

「僕がちょっと魔法を使ったからだよ」

これが・・・魔法の力・・・。

< 110 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop