Pyua love ~そして真実~
私は放課後、一人で校内を歩いていた。
図書室へ本を借りに行ったその帰り。

ガラッ

「わ!」

「ごめんなさい!」

突然途中のドアが開いて、私にぶつかりそうになった女生徒は、走り去っていった。

(泣いていた?)

開いたドアから出てきた男子生徒がいた。

「あ・・・」
「なんだ、お前か」
「なんだ、じゃないよ。今のって?」

現れたのは、坂上君だった。


クラスメイトと言っても、グループが同じわけでもないから、こうして言葉を交わすのは、久しぶりの事だった。

坂上君は、私の問いに答えるわけでもなく去っていこうとする。

「え?ちょっと!?」

去っていこうとする坂上君が足を止めると、私を見る。

私は驚いた。


その表情は、いつもの鋭いクールな表情ではなく、優しい。

その表情に思わずドキッとする。

「例の件、おまえ・・・黙っていてくれているのだね。ありがとう」

坂上君がお礼を言った?


ビックリした私が返した言葉は。

「私は、外山 志帆よ!お前じゃないわ!」

だった。
そんな事が言いたかったわけじゃない!

私のバカ!!

ちょっと自己嫌悪に陥った私を見て坂上君は言う。

「そっか。それは申し訳ない。外山さん」

そう言って、去っていく坂上君。

「ありがとう」と「申し訳ない」そんな言葉を両方聞くことが出来るなんて。

私は一体、何を考えているのか。


でも、あんな優しい表情も出来るんだ・・・。

私は、そのことに驚いた。
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