どんな君でも愛してる
序章
 都会の中心にそびえ立つオフィスビル「B.C. square TOKYO」。

 最上階からは都内が一望出来るのではないかと誰もが思うが、最上階に足を踏み入れることは簡単には出来そうにない。

 それもそのはず。

 55階の下半分にあるミドルフロアにさえ近づくことが出来ない。
 
 もちろん、上半分にあるアッパーフロアにはもっと近づくことが出来ない。

 アッパーフロアには世界三大コンサルのうちの一つが入っており、IT関連会社や法律事務所、投資顧問会社とか名の知れた企業ばかりが入っていて、人はこの「B.C. square TOKYO」をーシンデレラ城ーと呼んでいた。

 採用されたり、取引相手になったりすればこの場所で働く素敵な男性と知り合うことが出来る。

 決してチャンスがないわけじゃない。

 ビル内の飲食店・カフェ・コンビニなどは自由に解放されるため、イケメンとのチャンスを狙い昼夜問わず人が溢れ返り、馬鹿高い料金を払いフィットネスに通う女性もいるほどだ。

 そんな都市伝説みたいな話を知らない女性が、ビルに足を踏み入れた。
 
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