どんな君でも愛してる
 八木は、さも当たり前のように二人の様子を見ながら淡々と瑠璃に話しかける。

「瑠璃さん、お味噌持って来ましたか?」

「はい、一キロはあると思いますが、八木さんも入ります?」

「……余れば、いただきます。」

 みんな何の話をしているか分からず、瑠璃も手に持った味噌をどうすればいいか戸惑っている様子だ。

「……みんなと和食が食べたくてね。材料は八木に色々準備させてあるから、そこのキッチンで人数分作って貰えるかな?こないだの味噌汁が美味しくてな。」

 瑠璃はそうは言われ、初めて室内を見渡し8人の男性がいることに気がついた。その中に、響介や浩一がいることに。

 瑠璃は響介の視線に気がつくが、こないだの言葉を思い出し、気まずそうにしてしまう。

「おじいさん、分かりました。作らせて貰いますね!」

 さっそく取りかかろうとキッチンに向かうと、奏子も"手伝うわ。"と追いかけてくる。その様子を見ながらも、みんなとソファーに座っているめぐみは、動こうとしない。

「作って貰ってる間に、みんなの最近の状況を聞こうか?」

 総帥は淡々とみんなをみて尋ねてくる。弁護士事務所の話や、投資の話をして盛り上がる中、響介はちっとも集中出来ないでいた。

 隣にめぐみが当然に座っているため、絶対めぐみのことを聞かれる。だが、もっと気になるのは、何故この場所に瑠璃かいて、総帥と親しいのかだった。
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