恋人は魔王様
「あれはっ」


「我々の世界では契約の接吻は絶対なんです。一生解約不可なんですよ。
魔王様の恋人なんて、羨ましい」


えーっと、羨ましいなら代わりましょうか?


っていうか、消費者センターで、クーリングオフしてもらえませんか?



「契約のキスってことは、私とあなたが一生恋人ってこと?」

否定的な返事が来ると信じて、ちょっと話にのってみた。

『魔王様』は不敵に笑う。そして、ふわりと私の頭を撫でた。

「心配しなくて良い。
ユリアが望むならすぐにでも結婚してやろう」


はあ、それはどうもありがとうございます。


……なんて、私が言うはずもない。



台風が年々激しくなるように、『春になると現れる変な人度』も年々アップしているのだろうか。


私が頭を抱えている間に車は私の自宅に着いた。

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