恋人は魔王様
「百合亜、顔色悪いよ」

心配した笑麗奈が私を人ごみから連れ出してくれた。

「ごめんっ
 なんか、気分悪くなっちゃった。

 先に帰るね」

そうだそうだ、帰ればいいんだ。
ここから離れたら、落ち着くに違いない!

私は学生かばんを掴んで、急いで階段を駆け下りた。

イマドキ珍しいほど伝統的なセーラー服が、うちの学校の制服だ。

夏服は白地に紺の二本線が入っていて、リボンは紅色。
ヘアスタイルは染めなければ自由なんで、私はポニーテールにリボンなんてかけていた。

だいたいいつも、こんな感じ。
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