恋人は魔王様
ピーンポーン

私の緊張感は、間の抜けたようなチャイムに中断された。
恐る恐る目を開ける。





残念なくらい、私の部屋だ。




自分の部屋を目の当たりにして、これほどがっかりしたことはない。

!!しかし、私はそのタイミングでもう一つ、忘れていたことを思い出したのだ。

ママとキョウはメルトモだったー!
恋人である私を差し置いて、なんてのはこの際気づかなかったことにする。


「ママっ、ケータイ貸して」

と、言うのと

「百合亜ちゃん、お客様よ」

と、ママが階下から呼んだのは、ほぼ同時だった。



下に降りていくと、何故か笑麗奈が、モデルよろしく微笑んで立っていた。

「なんとなく嫌な予感がしたから迎えに着ちゃった☆」

ものすごく感度の良い予感である。
私はすっぽかすのを諦めた。

だいたい、これだけ一方通行な関係では「恋人」とは言いがたい。
一夜の関係を持ってしまったイケメン、とでも言うしかない。

……とかいって、私はそんなに軽い女であるつもりはないんだけどー!

「あー、すぐ準備するから、ちょっと待って」

心を決めた私は、紅茶を入れているママに一方的にケータイ借りるね、といい、返事も聞かずにリビングのテーブルの上にあるママのケータイを手に取った。
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