ぼくを全部あげる
第四の手紙
360日目。


あと5日で、一年記念日だね。


でも僕は今、正直なところ、少しだけ落ち込んでいるよ。

少しだけね。


なんでかって?

君にどうやら恋人がいるらしいって、噂で聞いてしまったからだよ。


なんでも、三ヶ月前もから付き合っているんだって?

全く知らなかったから、飛び上がるほどに驚いたよ。


どうして教えてくれなかったんだい?


君は、酷い女だね……。


……いや、違う、ごめんよ。

こんな恨み言なんて言いたかったわけじゃないんだ。

ショックのあまり我を失ってしまったよ。


僕はそこらの男とは違うんだ。

君が他に恋人を作ったからって、僕は怒ったりしないよ。

君に恋人ができたからって、僕の君に対する愛が薄れるなんてことは、決してないよ。


僕の愛は、そんなに軽薄でちっぽけなものじゃないんだ。

もっともっと荘厳で深くて大きな愛、そうだ、無償の愛なんだから。


君に恋人がいようがいまいが、僕には全く関係ない。

だって僕の愛には、君と僕しか必要ないんだから。

そこに君がいて、僕がいて、君を愛す。それだけ。

他の人間なんて関係ない。



ああ、そうか!

やっと分かったよ。

君が僕に恋人のことを教えなかったのは、僕が悲しむと思ったからなんだね。


君は、優しい女だね……。


でも、心配ご無用。

僕の愛は、宇宙よりも広い、まさに無限大だ。


恋人の存在なんて、これっぽっちも気にならない。

君の隣に誰がいようと、僕には君しか見えていないから。


君そのものだけを見て、僕は君を愛しているんだ。


僕の愛はそれほどに深いものなんだ。

見返りなんて求めていない。


君が僕を愛してくれようがくれまいが、僕は君を永遠に愛し続けるよ。


ねえ。

君の恋人は、君に対して、僕ほどの大きな愛を持ってくれているかな?

そいつは、何があっても君だけを見つめて、君だけを愛し続けてくれるような男かな?


きっと違うだろう。

僕ほどに君を愛する男はいないよ。


だから、ねえ、君。

その男の愛の薄っぺらさに気づいたら、いつだって僕のもとに帰ってくればいいんだよ。


僕はいつまでも待っているよ。

一生涯を君に捧げると決めているからね。


永遠に待っているよ。



だから君も、早く目を覚ましたほうがいい。

真実の愛を向けてくれる男が誰が、早く見極めたほうがいい。

それが君にとっての最高の幸せなんだから。


君を愛しているよ、永遠に。



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