私を離さないで
あの日の記憶
ザー

雨が降る中、私はひとりたたずんでいた。

目の前では今まで住んでいた家が燃えている。

紅く紅く燃えている。

あの人とともに燃えている。

あぁ、何もかもが燃えてゆく。

私を縛り続けていた物が燃えてゆく。

嬉しいはずなのに、

枯れていた涙が溢れてくる。

どうしてだろう。

あぁ嬉しくて泣いているのか。
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