2次元と現実

お願い

「……やっぱり。」
一方向を見ながら彼女は呟いた。

「何がやっぱりなの？すーちゃん。」
キョトンとした顔で聞いてくる小動物の様ないかにも男子受けしそうなこの子は宇佐みらの。

で、私は高校生三年生 職業小説家 すーちゃんこと栗栖すみれだ。

「や、実はあいつ…今書いてる小説の主人公にイメージピッタリなのよね。」

明るい髪の無愛想野郎。 少しクラスで浮いた存在のあいつは渡真利隼姫だ。

「…え……本当に？」
みらのは口をパクパクさせている。

「うん。てか何そのアホ面。」
呆れた様にすみれは言った。

「だって、だって……羨ましい！！！！！二次元の王子様と現実世界で出会えるなんて！！！私だって…私だって蒼くんと出会いたいのに！！毎朝蒼くんスマイルで目覚めたいよ！ま、毎朝蒼くんボイスの目覚まし時計で幸せな朝を迎えてるんだけどね。」

すごい早口で一気に話きった彼女はそう…世に言う勿体ない系女子だ。