スキ。〜この一瞬だけでも。〜
運命の人
私は彼と一緒に銃撃戦の現場に急行した。

銃の音と同時に、
「遥さん!」
と聞こえた。
ああ、私は撃たれたんだ。
そして、蒼汰さんは私の近くに来て、
「遥さん!大丈夫ですか?」
「遥さん。僕と結婚してください。」
と言ってきたが、私のせいで彼の人生を無駄にすることはできない。そう思った私は、
「ごめんなさい。」
と答えた。すると彼は、
「僕は遥さんの優しさに惚れたんです。遥さん以外こんなに優しい方はいません。」
「けど…私のせいで蒼汰さんの人生を無駄にすることはできないし…」
「無駄になんかなりません。いや、無駄なんて思いません。」
「こんな私でいいのならよろしくお願いします。」
「良かった。遥さん、僕が一生幸せにします。」

けれど、幸せは長く続かなかった。
「蒼汰さん、少し寝させて下さい。」
「遥さん、戻ってきて…!まだ遥さんのこと、幸せに出来てないよ…」
「ごめんなさい、蒼汰さん。少し眠たいです。そして、蒼汰さんに抱かれただけで幸せです。」
「遥さん、僕はもっと遥さんを幸せにしないと…お願いだから…戻って来て…」
「さ…よう…な…ら…」
遥さんはもう目を覚まさなかった。
僕は遥さんを守れなかった。
僕は遥さんを幸せに出来なかった。
ごめんなさい。遥さん。

犯人はすぐに逮捕された。だが、
「遥さんを返せ!」
と思わず叫んでしまった。すると犯人は、
「…ごめんなさい。謝罪だけでは済まないと思いますが、お許しください。」
と、土下座をしながら言ってきた。
「…許せるわけないじゃないですか。」
愛する人が目の前で殺された。
その悲しみと犯人への怒りで涙が止まらなかった。
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