冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「それが、この姫君は少々変わっていらっしゃるんです。ガエルも一緒にパンを作ればわかりますわ」


彼女はガエルという名前らしい。
コールがそう言うと、ガエルは首を傾げている。


「まぁ、コール。変わってなんていませんわ。私はいたって普通よ」

「いえ、ここにいらっしゃること自体、普通ではないんですよ」


そっか。そうなのか……。
妙に納得したものの、せっかく皆と仲良くなれる機会を得たのだから、逃したくない。


「ガエルさん、私も混ぜていただけませんか? 決してお邪魔はしません」

「そ、そんな……ガエルで結構でございます! それに邪魔だなんて……」


ガエルが卒倒しそうな表情で声を上げる。

でもその様子を見ていたコールは、おかしそうに含み笑いをしている。


「ガエル、緊張しなくて大丈夫ですのよ。リリアーヌさまは、いつもこの調子でいらっしゃるんです」
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