冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「今まで勝つことだけしか考えてこなかった。それがユノヘスを救う唯一の道だと思っていた。でも、勝ち負けなんて必要のない世界を作ればいい。お前が言ったように、子供のころから温かな心を育て、分け合うことを覚えさせたい」

「……はい。ありがとうございます」


私はサノワでコツコツとしてきた活動が、認められた気がしてうれしかった。


「サノワはお前がいなくなって大丈夫なのか?」

「はい。ヤニックにあとを託しました」

「そうか。ヤニックなら、しっかりやってくれるだろう」


ヤニックは無事に着いたかしら。

私はサノワのある西の方向を見つめ、そんなことを考えた。


兵士たちへのねぎらいが済むと、シャルヴェさまは私を一緒に馬に乗せ、王宮を抜け出した。


「リリアーヌひとりで抜け出すことは、絶対に許さんぞ」

「わかっております」
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