メガネの王子様
*****


「それじゃあ、最終日の小樽ではどこに行く?」

陽葵が楽しそうに、クリームパスタをクルクルと巻きながら言う。

私達は修学旅行の打ち合わせをする為に、皆んなでファミレスに入って、お昼ご飯を食べながら意見交換をしていた。

北海道かぁ…時計台、旭山動物園、小樽運河。

食べ物も美味しいし楽しみだなぁ。

なんて思いながらサラダを食べてたら、お昼からガッツリお肉を食べている健ちゃんと目が合った。

あ…健ちゃんってば子供みたいにパクパク食べるから

「ふふ…、健ちゃん口にご飯粒ついてるよ。」

「えっ⁉︎マジっ///」

健ちゃんは口の周りを指で払うが、なかなかご飯粒を取れないでいる。

「違うよ、ここ。」

私は健ちゃんの口に付いているご飯粒を取ってあげた。

「ーーーっっ///⁉︎」

真っ赤な顔をして固まっている健ちゃん。

「…萌香ちゃんと町田くんって、すごくお似合いのカップルですね///」

興奮した様子の優花ちゃんが、いつもより少しだけ大きな声で言った。

「えっ⁉︎ 違うっ違う、私達付き合ってないよ。ねぇ?健ちゃん。」

私は慌てて否定をし、健ちゃんに同意を求めたのに

「……俺と…本当に付き合ってみる///?」

少し間を空けてから健ちゃんが爆弾発言をした。

「何言ってるのよ、健ちゃん/// そんな事、他の女の子に言っちゃダメだよ。私だから冗談だってわかるけど、他の女の子は本気にとっちゃうんだからね。」

「…わ、わかってるよ。他の女子には言わないよ。」

「もぉ、健ちゃんは結構、人気あんるだから気を付けないとダメだよ。」

「はい、はい。」

健ちゃんは、なぜか「はぁ…」と溜息を吐きながら力無く返事をした。

陽葵は健ちゃんの肩を「ヨシヨシ」と摩っている。

何?なんか私がいけない事したみたいな空気になってない?

なぜか少し居づらくなった私は「ちょっとお花摘みに行ってくる」と言って席を離れた。


< 42 / 78 >

この作品をシェア

pagetop