メガネの王子様

辛いんです

*****




雲ひとつない青空の下、皆んなワイワイと楽しそうにしている。

そんな中、私はひとりベンチに座り、溢れ出しそうな涙を必死に堪える。

どうしてこんな事になってしまったんだろう…




「あれがお前の本性かよ。」






桐生の冷たい視線と声が何度も頭に浮かんでくる。

告白を断るため、自分を守るためについた嘘だったのに……

それが桐生を傷つける事になるなんて思ってもみなかった。





「二度と俺に関わるな。」




耳元で囁かれた地を這うような低い声。






ーーーーー桐生に嫌われた。






溢れ出しそうになっていた涙が、ついにポロリと零れ落ちてしまった。

直ぐに濡れた頬を手で拭い取る。

誤解だって言いたかった。

なのに話も聞いてもらえないだなんて…

聞く耳も持てないほど桐生を怒らせるだなんて…

ーーーーーどうしたらいいの?

好きなのに

桐生のことが、こんなに好きなのに…

お願いだからーーー

「俺に関わるな」なんて言わないでよ…



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