メガネの王子様

エピローグ




暗くなった空からは白い雪が降って、アスファルトの上に薄っすらと積もっていく。

「ホワイトクリスマスイブになったな。」

桐生が後ろから私をぎゅっと抱きしめ、外の景色を見ながら言った。

「そ、そうだね///」

「プッ、お前、いつまで緊張してんの?」

「だ、だってっ、まだ付き合って間もないのに、彼氏の部屋に来るなんて思ってもいなかったんだもんっ///」

クリスマスイブの今日、午前中は普通に外でデートをしてたんだけど……

今はなぜか桐生の部屋にいる。

桐生の部屋は白と黒のモノトーンで揃えられていて無駄なものが一切無く、とてもスタイリッシュな部屋だった。

私の部屋なんてぬいぐるみだらけだし、クッションだけでも何個あるんだろうってくらい無駄な物が多いのに…。

「そろそろこっち向けば?」

そう言って桐生は私の肩に手を置きクルッと180度回転させた。

「プッ、顔が真っ赤なんだけど。」

「う、うるさい///」

全部、桐生のせいなんだからっ。

なんかいい香りするし、モサ眼鏡じゃないイケメンバージョンのうえ、いつもより髪型も私服もカッコイイんだもん。

しかも個室でふたりっきりだしっ///

ドキドキしすぎて落ち着かない私。

「ちょっと、じっとしてろよ?」

そう言って桐生は私の首に手を回した。

…………え?これって

「似合うじゃん。」

桐生が私につけてくれたのはネックレスだった。

ハートのモチーフにピンクサファイアが敷き詰められていて胸元で柔らかく輝いている。

「…可愛い///」

しかも、サファイヤって私の誕生石。

「サファイヤは、慈愛、誠実、徳望らしいぜ。神崎にピッタリだな。」

「ありがとう…凄く嬉しいっ。」

嬉しすぎて胸がきゅうっとなって、涙が溢れ出しポロポロと零れていく。

「バカ、泣くなよ」と言って親指でそっと涙を拭ってくれる桐生。

「桐生…好き、大好きだよ。」

熱い想いがどんどん溢れてきて…

どうしても今、言葉で表したくて桐生をじっと見上げてストレートに気持ちを伝えた。

「おまっ///⁉︎ヤバイって///」

桐生が大きな手で自分の口元を押さえ、私から目を逸らした。

「…なんで目を逸らすの?」

せっかく素直に気持ちを伝えたのに。

私は桐生の胸元をキュッと掴んで見上げる。

「もぉ…限界」とボソッと言った桐生は私の両頬を手で包み込み再び唇を奪った。

「ちょ、き、りゅ…。」

桐生は私を後ろに押しながら、熱く深いキスを繰り返していく。

気が付けばベッドに押し倒されていて、妖艶な空気をまとった桐生が私を覆うように四つん這いになっていた。

「えっ、えっ?ちょっと待って桐生///」

「待てないし、煽ったお前が悪いから。」

「なっ///⁉︎いつ私が煽ったのよっ。」

「そんな顔して煽ってないなんて言わせない。」

「ちょ…っ、ん…。」

「黙ってろ」と言って私の唇を塞いだ桐生。

優しく甘い甘いキスに私はどんどん溺れていき、もっと桐生を感じたいと思ってしまう。

ふと唇が離れて目を開けると、桐生がとても愛に満ちたような目で私を見つめていた。

「…萌香。」

初めて桐生に名前を呼ばれてドクンッと大きく波打った私の心臓。

ドキドキと落ち着かない心臓は、次第に甘く響きだし私の心は満たされていく。

そっと私の髪に触れた桐生の目がとても真剣なものへと変わって








「萌香の全てが欲しい。」







ーーー空から白い雪が舞いおちる日

私たちは、ひとつに繋がったーーー


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