未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

五年前。

やっと紛争が終結したこの国に、俺は赤十字から派遣された医者として足を踏み入れた。


そして今に至る。



俺は、本棚から埃を被った一冊のスケッチブックを引っ張り出してきてそれをパラパラとめくった。


このスケッチブックの中だけは時が止まったままで。

俺は懐かしさで胸がいっぱいになってしまう。




さっきまで俺が見ていた夢……


十五年前、俺が実際に経験したあのことがなかったなら、今ここにいなかったに違いない。



スケッチブックをそっと抱きしめて窓越しに空を見上げた。


脳裏に、君の姿が鮮明に浮かび上がってくる。




あの頃……君と過ごした幸せな日々を……。



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