未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

やめて!もうやめて!
これ以上壊さないで‼


叫んだつもりだったが声にならなかった。




次の瞬間、あたしはリモコンのボタンを押していた。
警報ブザーが鳴り響き、速やかに機械が止まる。


ゆっくりと体の感覚が戻ってくると、体中にじっとりと汗をかいていた。



ドアが外側から開かれ、堤先生が入って来てあたしの傍に立った。


「先生、ごめんなさい。……ものすごく気持ちが悪くて、怖くて……」


堤先生は優しい表情で頷く。



「うん。大変なのはよくわかる。この放射線は負担が大きいから、無理は禁物だ。
だが、これで骨髄を壊さないことには骨髄移植は出来ない。

矛盾しているとは思うが、なんとか頑張ってくれ」



あたしの脳裏に骨髄を提供してくれる央子ネエの顔が浮かんだ。

悠聖やお兄ちゃんやお父さんやお母さんや茉優の顔も。



あたしの健康を心から願ってくれているみんなの為にも、あたしがここで諦めちゃいけない。



「咲雪さん、続けられますか?」


堤先生の問いにあたしはしっかりと頷いて言った。



「先生、続けてください」



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