未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

「圭祐ってそういうとこ律儀だよね。
じゃあ、今日からあたし達は恋人同士ってことで‼」


おどけたようにそう言う央子に、俺も頷く。


それから、俺が手を緩めて央子を離すと彼女は一瞬不安げな顔をした。



「明日の為に、央子も休まないと……」


「もう、帰っちゃうの?」



うわ。

なんでこの人はこう、離したくなくなるようなことを言うかな。


そんなこと真顔で言われたら、理性の糸が切れかねないんですけど。



俺は央子を大切にしたいから、こんなところでそんな行為に及びたくない。


だから、たとえムードをぶち壊してでも今は立ち去らないと。



「ごめん。もうちょっと一緒にいたいけど、今日は帰るよ」


「ねえ圭祐、これって夢じゃないよね?
明日の朝になったらそんなこと知らないなんて言わないでよ?」


俺は思わず吹き出してしまった。

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