未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

“ねえ、いいでしょ?”

“えー、でも悪いですよ。”

“そんなことないって‼たくさんいる方が楽しいし。”

“えーでも……。”

“いいのいいの。どうせ作るのは圭祐なんだから。圭祐の料理、食べてみたくない?”

“えー、……そうですかぁ。じゃ、家に電話します。”
 



……てな感じである。
 

俺は、央子が家に電話している間に小声で母に尋ねてみた。



「さっき、堤先生、なんて言ってたの?」


「うーん、それがねえ……白血球とか血小板とかは順調に増えてるらしいんだけど……」
 

母の歯切れの悪い言い方で察しがついた。



「まだ、赤血球が出来てこないんだ?」


「そう」
 

母が心配そうに頷く。
 


咲雪はもともとは血液型がO型だったのだが、骨髄提供者の央子の血液型がA型だった。

だから、移植された骨髄からはA型の赤血球が作りだされ、順調にいけばA型に血液型が変わるはずだったのに。

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